マツコラム

フェイクニュース

フェイクニュースという物が話題です。
その名の通りウソのニュースなのですが、なかなか信憑性のある物や、問題の本質を言い当てている秀逸な物も多く興味深いです。
しかし明らかなウソとわかる物はまだ笑えるのですが、事実と誤認してしまう物はそれ自体が影響力を持つので問題になっているようですね。
なので明らかな作り話である昔話や物語も「暗に伝える」という意味では古来からのフェイクニュースなのかもしれません。
度々登場する「鬼」や「魔女」は災難の象徴として描かれ、それを避けるため子供に読み聞かせたフェイクニュース。しかしそれにより「鬼」や「魔女」が悪の象徴となってしまう副作用もあります。
「鬼」や「魔女」等の「人の形をした人でない恐ろしいもの」は古くから差別や迫害が生み出した幻であり、その相手は実は同じ人間だったりする物です。

なので、松印通信発のフェイクニュースを一つ。

*鬼が島諸島の返還を訴え鬼の遺族らが抗議活動、鎮圧へ向け桃太郎政府は軍を投入、モモタロフ首相は「我が国固有の領土」と主張。(松印通信発)

領土問題に揺れる鬼が島諸島に新たな動き。
国防省サルー長官の指示により滑走路を供えた軍施設の建設に着手した事を受け、もと島民であり先の大戦で戦死した鬼の遺族らが抗議デモを繰り返している。

敗戦により島を追われた鬼族が多く居住するゴザ地区では新たな鬼政府樹立に向けアカ派とアオ派の対立も続く。親桃太郎派のアオ派がアカ派を軍事力で上回っているのは桃太郎軍からの武器の横流しがあると見られており、アオ派を中心とした傀儡政府が誕生するとの見方も強まる。

一方で、迫害に苦しむアカ派に対し人道支援の強化等融和策を訴えるキジー党首率いる最大野党自由キビダンゴ党は「鬼族に平等の雇用機会を」を訴え国内に在住する鬼族からの支持票を獲得する動き。これに対しモモタロフ陣営は「テロリストの支援だ」と批判を強める。

特定の国家を持たない鬼族に対する差別、偏見は未だ根強く、山で芝刈り、川で洗濯といった低賃金で過酷な労働を強いられており、いじめや差別に起因する凶悪犯罪も増加傾向にある。
これは、鬼が島の油田を廻り勃発した先の大戦後、歴史教科書を桃太郎政府の都合の良いように改ざんした影響が明らかだとして歴史教科書の不適切な記述の訂正を求める鬼側と、充分な経済支援をしていると主張する桃太郎側との対立が深まっている。

加えて、戦後利権を獲得したオジスン電気、オバーサル重工を筆頭とした財閥の政府への影響力は未だ強く、一族と市民の間での経済格差は開く一方で、この事が貧困層による鬼族への迫害を強めているという見方もある。

そんな中、市民レベルの交流が広がる動きも見られ、宗教上の理由から穀物を食べない鬼族に配慮したハラール料理を提供するレストランも増え「ダイエットに効果的」「ヘルシーなのに満足感が有る」と一般市民にも好評を博す。駅等大型施設の中には敬虔な鬼族向けにお祈りの出来る祈祷所を併設する施設も増えて来たようだ。

文化面でも「鬼にカネボウ」のCMで脚光を浴びたONI48を筆頭にO-POPが注目を集めている。長身と美しい角を活かした「鬼ダンス」も若者の間で流行し、女子高生を中心に「着け角」が大ブレイクしたのも記憶に新しい。

かつて軍人として鬼が島での戦闘に参加し、現在ONI48のプロデューサーを勤める犬元氏は語る。
「確かに悲しい歴史は存在します。ですが、私たちの力で信頼を取り戻す事も出来ると信じております。これからの若い世代には差別や偏見無く共に楽しめる世界を作って行って欲しいと願います。」
ONI48リーダーのオニールは「歌とダンスを通して皆さんに愛と元気を届けたいです」と笑う。その角の輝きが照らす友好への道はそう遠くない。