マツコラム

失脚と言うチャンス

舛添さん、やめちゃうのですね。

もちろん彼のしたことは褒められたことではないです、人々の怒りを買うのは当然でしょう。
でも最後に「リオオリンピックまでは無給で続投したい」と言ったその心意気や良し!と思いました。
そしてその間必死で働き、都民の支持を取り戻せるような偉業を成し遂げて欲しいと思っていたのでとても残念です。

人は規模の大小はあれど誰だって「天狗」になります、安定した環境にいれば「少々いいか」と気が緩むものです、それは人類に備わった本能であり時に必要な機能です。普段から「いつ猛獣に襲われるか」とビクビクして生きる人がいないのもこの機能のおかげです。良くも悪くも警戒心、緊張感は「慣れ」ていくものです。今回は悪い方に出ちゃいましたね。
彼に限らず同じようなことをしている人は多いでしょう、そして彼の後がまになった人がまた同じことを繰り返すのは容易に想像できます。
ですが、一度は多くの支持を集め、人々から最も信頼された人物でもあります。その人に向かって「逃げんなよ」と罵声を浴びせた記者を見てとても悲しくなりました。

人は失敗するものです、そして失敗を乗り越えて強くなるものです。
彼は失脚しましたが、反省し、再出発すれば以前よりもっと信頼を集める政治家へと成長すると信じております、その時に正しく迎え入れられる市民でありたいものです。
犯罪者の更生のプロのお話では、問題を起こした人の取る行動はまず1:拒絶(逃避)次に2:後悔、そしてだいぶ後に3:反省に至るそうです。非難を浴びている最中はまず1の状態で、即反省は難しく自分を正当化することに精一杯で、その状態が長く続くと今度は”責任転嫁”に移行するそうです。逆に即反省の姿勢が取れる人は全体が見えた上でその選択が出来る=何らかの理由を覚悟の上の確信犯の人、もしくはその問題に興味の無い人、少数ですが本当に悪いことをしていない人が事態収束のため、のいずれかに当てはまるようです。うろたえたり、開き直ったりするのはむしろ「間違ってしまった人」の正しい反応と言えるかもしれません。
なので、叱責は明確に一度きり。その後時間を置いてリカバーの為の環境作り、そして協力者の存在を認識してようやく反省に至るのだそうです。もう充分に叱責は受け、悔やんでいることでしょう。今すぐ復帰は難しいかもしれませんが今後彼が同じ過ちを繰り返すとは僕は思っていません。
墜ちた英雄を闇に葬り去るか、それとも更生しより人の為になる人へと導くか、それは私たち次第のような気がします。

それよりも心配なのが今彼を引きずり下ろそうとしている力は「より良い都政を願う力」というよりも、「次の選挙に勝ちたい」「都知事のポストが欲しい」そんな敵対心や欲望の方が大きく見えてしまいます。私たちはこの後何を選ぶべきなのでしょうか?

そして何より、報道の怖さを感じています。

街頭インタビューでも全ての人が彼を罵るコメントをしていました、彼を擁護する人は一人もいなかったのでしょうか?
北朝鮮しかり、「あいつは悪だ」と報道すれば、何も知らない人は北朝鮮の人が全て悪人だと勘違いしてしまいます、「鬼畜米英を殺せ!」と一丸になっていた時代と何も変わらない。今彼を擁護すれば「非国民!」と自分も同罪にされるのでしょうね。子供のいじめと同じ原理です。
セコいことはしていても「違法性は無い」というのはほぼ本当だと思います。東京都知事がファーストクラス乗るのは警備面でも妥当です。頭の良い人ですからつつかれてボロが出ないよう上手くやってたのでしょう。その辺りも含めて民衆の怒りを買ったのは事実ですが、今や彼は「攻撃して良い人」と世に認識されてしまいました。こうなってしまえば関係ない人も彼を責める、無実のイスラム教徒が暴行を受けたあの頃や不眠不休の東京電力社員に罵声を浴びせたあの頃と仕組みは一緒です。

不倫騒動も同じような気がします、個人の問題をなぜ公共の電波に乗せて謝罪させなければいけないのか?
人生を変えてしまう出逢いなんて誰にでも平等に起こりえる事故のようなものです、自分がそうならない確証なんてどこにもないのに、さも「自分は絶対しません」みたいな顔して蔑みの目で見る人々を見ていると本当に悲しくなります。
それでいて不倫ドラマが人気の昨今。その計算式に乗せれば、答は「うらやましい」になってしまいますね。

許しましょうよ、そして再出発を応援しましょうよ。

民意で不正を正すのは大切なことです、ですが最近の報道は少し過剰な気がしています。
盛り上がりやすい一方向の意見だけでなく、多くの考え方が有ることも伝えて欲しいと思うのです。
権力者や人気者を吊るし上げ、失脚をほくそ笑む。それを喜んで見ている私たち視聴者がいる以上、変わることは無いのかもしれません。
こんな大人のいじめが公共の電波で繰り広げられている以上、子供のいじめが無くなるとは思えません。

子供達にはこんな汚いものでなく、夢や希望溢れる漫画を見ていて欲しい。