マツコラム

摘心

若葉達よ
君の芽を摘んでしまって済まない
痛かっただろう、悲しかっただろう

でも僕は知っている
芽を摘まれたときこそ君たちは強くなることを
信じた一本の道が断たれた時、君たちは新たな道を、自分たちが生きて行く道を探してたくさんの枝を伸ばす
そしてその全てが正解であり、全てが補い合い伸びて行くことを知る
そして一本の幹しか持たない者よりも遥かに強く逞しく育って行く
その時、今の痛みを懐かしく思い出すだろう
だから悲しまず精一杯葉を広げて欲しい

君の葉を食べに青虫がやってくるかもしれない
でも毒など出さずに快く食べさせてあげな
青虫をお腹いっぱいにさせてなおあまりあるだけの葉を広げることを君はがんばればいい
いずれその青虫は蝶になり君を助けてくれるかもしれない、あるいは君の友や恋人を助けてくれるかもしれない

だから今は痛くても共に育って行こう
そして綺麗な花を咲かせて僕を楽しませてくれ
その時僕は惜しみない賛辞をあげよう
水も肥料も好きなだけあげよう

でも君は知っている
君たちは水や肥料が欲しくてがんばっているのではない
ただ目指す太陽に向かい、そこに届こうとする旅の途中
いつか君が土に還っても
終わることの無い 旅の途中